アフリカでの給水活動奮闘記     

第3回給水活動  平成22年11月23日〜12月6日

 アフリカの北西部ブルキナファソという国で感染症撲滅と給水活動のために行っています。今回の場所は首都ワガドゥクから車で1時間のコムシルガという村にいき新規の井戸1本と3本の井戸修理に行きました。雨季がすぎ乾季になっていましたので「砂けむり」の中、ホコリまみれの行動になりました。今回は小学校の校長先生も一緒でしたので、学校訪問もしてきました。


井戸掘削

私達のグループは平均年齢が60歳代中ばとなり、過酷なアフリカでの作業は難しいと思い、今回は前もって送金し現地の人達に掘って戴きその確認に行きました。
診療所の側に掘ってあり水量も豊富で綺麗な水が出ていました。今までの水運びがどんなに大変だったかと想像しながら、これからは衛生面もよくなり診療所の効率もよくなり診療に専念できるものと思われます。


井戸修理  1本目

1本目の井戸はコムシルガの28ヶ村の村の総村長という通称「シェフ」という人の井戸修理です、前回見たとき水の出が悪く永くはもたないなと感じていました。風習でシェフの傍に村人は近ずけず10M位離れたところに履物をぬき裸足で2〜3M位はなれた所に地面にすわります。直接話をすることはできず、側用人のような人を通してシェフにお伺いをたてます。シェフは大きな椅子に座り杖を持ち返事をするだけです。私達は椅子に座り靴も履いたまま直接話もできます、ものすごく威厳があります、私達にはよく冗談も言いきさくに話しかけてくれます。
 さて修理のほうは、シェフの命令で5人位の手伝いを出してくれました。珍しいので村人も5〜6人手伝いました。
 道具は日本からモンキーレンチを2本持参し首都現地で調達した大型パイプレンチ2本小型パイプレンチ2本で始めました。上部の部品をはずし、いよいよ鉄管パイプとロットの引き上げとなりました、鉄管1本3mが10本ロット3m10本とシリンダーそして鉄管内の水がありますので重さは100Kg以上あります。パイプレンチで挟み持ち上げるのですが、1〜2回やるとあとは手伝いの人達がしてくれます。地元の人達は馬力があり私たちの3倍位の力持ちです。
10人もいるとパイプが見えなくなりパイプレンチが正しく付いているかの確認がやっとです。
現地の人達は興味もあり、物覚えも早いのですぐにマネをし覚えてしまいます。
道具さえあれば修理を覚えるのも早いです。パイプの引き上げとシリンダーの引き上げが終わり不良箇所の点検になり、パイプもロッドも異常なしとなりますと、不良箇所はシリンダーということになります、シリンダーを開けようとすると、溶接してあるので開かないと言ってゆずりません、私は溶接はしていない、かならず開くはずだから、開けようと言いレンチで強引に回したら開きました、予想通りシリンダー内のネジがはずれ脱落していました。
ネジを付け直しシリンダーを閉じ鉄管パイプを入れ直すことにしました。
 ここで問題が起きました。パイプは上げた順番に番号を付けて並べておいたのですが、水に浸かっていた下のパイプの錆びと腐食があるので、上方のパイプを下に、下のパイプを上に交換をしようとしたら、パイプとロットの長さが違うので合わなくなると言い張るのです。事実パイプの長さやロットの長さはバラバラなのですが、今まで使っていたものなのでトータル的には同じだろうと説明するのですが、言うことをききません、1時間位押し問答していましたが、この井戸を長持ちさせるためにはこうするのが良い方法だと説明し最後に合わなかったら私が責任をもつということで、しぶしぶパイプを入れることになりました。
パイプを入れている最中はパイプとロットの長さが合わず不満そうでしたが、最後のパイプを入れるとピッタリと合いました、当たり前のことですが、現地の人達はビックリしていました。
 上部のチェーンやテコ棒を取り付け修理の完成です
 水を汲み始めると最初は鉄の錆び等で赤い水が出ましたがすぐに澄んだ綺麗な水が出て皆で歓声を上げて大喜びをしていました。完成して30分もすると水汲みの長い行列ができていました。よほど直るのを待ちわびていたようで。その後も途切れることなく夜まで並んで水汲みをしていました。直ってよかったよかったよかった。


井戸修理  2本目

 井戸は出来上がると井戸組合のような組織を作り修理のために積み立てをしているのですが出来て15年以上経ちますので鉄管パイプがサビ等により薄くなります、2本目の井戸は所々溶接で修理してありましたが、全体に薄くなっていて溶接は無理でした。何回かの修理で積み立てたお金も底をつき3年以上放置されていた井戸でした。パイプとロットを新品のものと交換し入れていきました。最後のパイプになり、ロットの長さと上部の部品の位置が合わなくなったので引き上げた今までのロットを使おうとして比べたら皆短かったそこで私は新しいロットを付けネジを切り直すことにし首都ワガドクまでネジきり器を借りに行かせました。ここで大論争になりました。古いロットを付ければ大丈夫と現地の人達が言って、はてしなく論争が続くのです、いくら古いのは短くて使えないよと言ってもきかないのです。そこでネジ切り器もすぐにはこないので、それでは気のすむように試してみたらと言いました。30mも鉄管が入って重たいのですが、たちまちに上げて交換しました、案の定長さが足りず、ガッカリするやら納得するやらでした。3-4時間してネジ切り器がきたので、また重い鉄管を1本引き上げ新しいパイプとロットに交換しネジきりをし取り付け修理完了となりました。


井戸修理  3本目

 3本目の井戸は小学校の庭にある井戸でした。前回平成21年1月に来たときに修理した井戸でしたこの時は井戸内部下のネジが外れていたものを付け直し簡易的に修理したものですパイプが錆びて永くは持たないだろうと思っていた井戸です。やはり半年前位から出なくなり放置されていた井戸です。3本目ともなりますと、私達は見ているだけで現地の人達でわいわいと喜んで仕事をしています。私達は帰ってしまうわけですから、現地の人達だけで出来るように覚えていただくのが一番です。パイプもロットも新しい物と交換しシリンダーの弁やパッキンも交換しました。今度は10-15年は大丈夫でしょう。また、利用は小学校だけに限定して使用させるとのことでした。20年は大丈夫かもしれません。

井戸修理  雑 感

 井戸修理は新規に掘るより格段に安い金額でできます。しかし道具も技術もまったくなくネジが外れただけでもその井戸は使えなくなってしまいます。修理をすればすぐに使えるけど修理が出来ずに壊れたまま放置されている井戸が何十何百とあります、これからもどんどん壊れて使えなくなる井戸が出てくると思います。井戸1本で500人の人達が救われると言われています。今回は新規の井戸1本修理して使えるようになった井戸3本ですから、1500人位の人達が井戸の恩恵を受ける事が出来たと思います。
これからは修理の大切さを痛感しました。手伝ってくれた人達の責任者に修理に使った道具一切を寄贈してきましたのでこれからは少しの修理は出来るかと思います。